糖尿病の内耳機能に及ぼす影響について
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概要
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1. 目的 内分泌および代謝障害による糖尿病患者について, 糖尿病に基因する聴覚ならびに前庭機能の障害があるかどうか, 糖尿病の重症度, 血糖, 随伴する血管障害などと関連があるかどうか, さらに糖負荷によりいかなる所見が得られるかという問題を解明すべく本研究を行つた.2. 方法 聴力検査ならびに前庭機能検査を行い, 聴力検査は純音オージオメータを用い, 気骨導検査と併せてDL検査も試みた. 前庭検査はめまい既往を詳しく問診し, 次いで自発眼振, 頭位眼振, 頭位変換眼振を観察し, さらにロンベルグ試験, マン検査, 足踏検査を行い, また冷温交互試験, 廻転検査を行つた.糖負荷試験は糖尿病の未治療群と既治療群とに分け, 負荷前後において上記検査を行つた.3. 結果(i) 血管障害 (高血圧症, 動脉硬化症) を伴う症例では前庭および聴力検査において異常を認めたものが多い.(ii) また中, 高年層においてその異常所見の発現率が高くみられた.(iii) 若年層では高血糖, 眼合併症 (糖尿病性網膜炎) を伴う症う症例に聴力障害がみられた.(iv) 罹病期間には相関を示さなかつたが, 高血糖値, 高血清総コレステロール値を有していた症例に内耳障害を示したものが多くみられた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文