気管, 気管支粘膜機能に関する電子顕微鏡的研究 : 主として物質の吸収について
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概要
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抗生物質の経気管的注入療法あるいは表面麻酔剤の局所注入された物質に対して気管, 気管支粘膜が如何なる態度を示めすものかを知ることは必要かつ重要である. そこで私はマウスおよびラット気管気管支肺胞系に於いて物質の透過性に関与すると云われているATPアーゼの電子顕微鏡的検出及び炭末, デキストラン鉄, フェリチンを気管気管支内へ吸入あるいは注入後, 経時的に電子顕微鏡にて観察する事により, 気道内細胞に物質の透過性の存在することを証明出来た.1) ATPアーゼ気管上皮の細胞膜, 無線霊細胞の microvilli および線毛自身には存在せず, その間に存在する microvilli に多量のATPアーゼ活性を認めた.2) デキストラン鉄液注入例同粒子は線毛細胞表面, 線毛及び microvilli 表面及び気管腔内には認めるが細胞内には認められない. 又肺においては塵埃細胞内にデキストラン鉄粒子の存在を認めた.3) フェジチン液注入例同粒子は線毛細胞の表面に多量に附着を認め, microvilli は相対的に増量し, その中の vesicle 及びその下方の vesicle も増し, その内部へ, いわゆる pinocytosis の形で vesicle 内へ多量のフェリチン粒子の侵入が認められた. 肺胞上皮細胞, 壁細胞内にもこの追跡子が存在した.4) 炭末吸入例短時間吸入例においては, 線毛附近の粘液層間にも, 炭末は認められなかつたが, 長時間注入例においては繊毛が消失し, 線毛細胞の破壊と細胞内へ多量の炭末の侵入を認めた. 又 basement membrane は存在し, 構造の保存されている basal cell への粒子の侵入は殆んど認めなかつた.又前二者と同様, 肺内細胞にも炭末の侵入像を観察した.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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