ドイツのBallungについて
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概要
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Wittも指摘しているように, Ballungの概念は研究者によつて異る。<BR>Isenbergは高い人口密度のかなり広い範囲への集積を, Weinheimerは人間とその運動地域の集積を, Fehreは非農牧林業の卓越するGemeindeの, かなり秩序立つた一定地域への集積を, それぞれにBallung, あるいはBallungsgebietと名づけている。<BR>内容と同時に, 規模も人によつてことなる。Isenbergは面積500km<SUP>2</SUP>, 人口500,000以上を, Weinheimerは人口密度1,000/km<SUP>2</SUP>以上を, したがつてIsenbergよりかなり小さい範囲を考えている。Fehreはこれらと異る指標を用いたわけであるが, たとえば孤立Ballungsgebietの1つであるSiegenのBallungsgebietは, 面積約200.km2, 人口約12万であり, IsenbergやFehreのそれに比してかなり小さい。Isenbergが想定したような地域は, ここではBallungskomplexと定義…されている。ただしそれはIsenbergのBallungより, 若干広い範囲にわたる。<BR>以上よりみるに, Ballungの概念は, いわゆるStadtregionときわめて近い概念である。両者の関係がなお明確でないことは, Wittも述べているところである。結局Ballungの概念も, StädtischeAgglomeration, Stadtregion, Stadt-Umland, あるいはまたGemeindetypenの問題とならんで, 進行しつつある工業化と都市化の現実を, 地域的に把握せんとす努力から生じたとみることができる。<BR>日本の現実は, ドイツとかなり異なつている。農業に依存する人口の密度も, それ以外の人口の密度もきわめて高く, 平坦地の面積は限られている。また産業構造もかなりことなる。しかし日本でも人口, 第2次・第3次産業, 住居の, 都市を中心とする地域への著しい集積は, 今や現実の問題である。諸外国での現状やその分析方法を参考にすることにより, 日本の現実の分析に最も適した方法を見出し, 統計調査や地域計画などの実際問題にも役立てるべきであろう。
- 社団法人 東京地学協会の論文