台湾海岸山脈東岸の完新世海成段丘と地殻変動
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概要
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1) 完新世海成段丘の最高位面は後氷期海進頂期を示すもので, 高度は約80mに達し, 最大約15m/kaという世界的にみても最も大きな隆起速度をもつ。ただし, 各段丘の正確な離水年代, 頂期の正確な年代, 海進と関係するサンゴ礁の発達過程についてはさらに研究が必要である。<BR>2) 完新世海進時の旧汀線高度からみると海岸山脈東岸は三つの変動区にわかれる。最北の変動区Aの隆起は台東縦谷断層の延長の活断層によると思われるが, BとCの変動区の形成には陸域の活断層ではなく海域の活断層を考慮する必要がある。<BR>3) 各変動区において海進頂期以降の隆起は間欠的で, 地震隆起を示唆する。段丘の数からいって数百年から千年に一度程度の巨大地震が想定される。海底活断層により上記の各変動区ごとに異なる隆起の時期と様式をもつと思われるが, さらに細分される可能性もある。<BR>4) 完新世段丘に記録されている顕著な隆起がいつ始まったか確定することは本地域の地殻変動史解明の上で今後重要な課題となる。<BR>5) サンゴ化石の<SUP>14</SUP>C年代は, 上下逆転など誤差が多かった。今後AMSやTh/U法など, 新たな手法で正確な年代を求め, 地殻変動各地区ごとの古地震や地殻変動様式の復元を行い長期的な地震予測の資料を求めていきたい。
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