「大腸粘膜下腫瘍および腫瘍様病変における総合画像診断」
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概要
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消化管におけるX線ならびに内視鏡診断は、この30年間にめざましい進歩を遂げてきた。しかし、これはあくまで粘膜面の病変に関してであわ、粘膜下の病変に対しては、従来のX線・内視鏡画像から得られる情報だけでは不十分であり、未だ明確な診断理念が確立されているとはいえない。さらに治療法の選択についても、統一された見解が得られていないのが現状である。このことにより不必要あるいは過剰な外科的手術の選択が余儀なくされてきたという側面もある。いわゆる粘膜下腫瘍および腫瘍様病変の形態を呈するものの中には悪性リンパ腫、カルチノイド腫瘍、平滑筋肉腫、粘膜下腫瘍様発育を呈した癌あるいは転移性癌といった悪性病変も少なからず含まれていることからして、良・悪性の鑑別を含めた上での、各種画像診断(X線、内視鏡、EUS、CT,MRI,血管造影など)を総合した"粘膜の下を探る"系統的な診断学的アプローチが必要となってくる。特に大腸においてはこのような観点からのアプローチが必ずしも十分に行われているとは言えないので、今回のランチョンセミナーのテーマとして取り上げることにした。<BR>近年、消化器病分野においても各種画像が駆使され、さまざまな疾患の質の高い診断が行われている。他の様式による種々の画像を追加することにより、より多くの情報が得られることは十分承知している。しかしながら、消化管画像診断の基本となるのはあくまで注腸X線像や内視鏡画像のはずであり、これらの特質が理解できなくて、EUS、CTあるいはMRIを活用できるはずはない。周知の如く、EUS,CTおよびMRIから得られる画像は、あくまで消化管壁、病変自体およびその壁外伸展,リンパ節や脈管を含む周囲臓器などのCross-Sectional Imagingである。その究極の目的はマクロ病理で得られる割面像を反映させることに他ならず、各種画像と病理との一対一のcorrelateonが不可欠となる。それは今日までの消化管画像診断学が,X線・内視鏡写真と病理標本との緻密な対比の繰り返しによって確立されてきた経緯からみれば、自明の理ともいえる.EUS、CTおよびMRIはX線や内視鏡検査では得られない新しい粘膜下の付加的情報を与えることが可能であり、これらの所見を総合的に判断することにより系統的な診断学的アプローチが初めて可能になるものと考える。
著者
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