III 大腸癌発癌の機構
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概要
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近年の分子生物学的知見より,大腸癌の発生には,数種の遺伝子変異が関与しているものと考えられている.癌組織で,癌遺伝子の一つであるK-ras遺伝子の点突然変異が高頻度でみとめられ,腺腫の段階で変異を有するものも多い.また腫瘍組織における染色体の欠失部の解析により,p53遺伝子が同定され,DCC遺伝子が単離された,これらの遺伝子のうち腫瘍組織に残存している側は高頻度に変異のあることが見いだされ,ともに癌抑制遺伝子であると考えられている,最近われわれは家族性大腸ポリポーシスの原因遺伝子の存在する第5番染色体長腕領域より,MCC遺伝子を単離した.大腸癌組織における遺伝子解析より,この遺伝子もまた,大腸癌の発生に関係した癌抑制遺伝子であるものと考えている,本稿では大腸腫瘍組織における癌遺伝子,癌抑制遺伝子の変異と発癌との関係を概説し,加えて最近われわれが単離同定したMCC遺伝子について詳述する.
著者
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堀井 明
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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安藤 浩
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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三木 義男
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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西庄 勇
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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三好 康雄
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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永瀬 浩喜
(財)癌研究会癌研究所生化学部
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中村 祐輔
(財)癌研究会癌研究所生化学部