肛門手術後障害の成因と予防
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概要
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肛門外科にておける後障害の問題は,肛門がデリケートな機能と敏感な知覚神経をもつだけに,患者の苦痛が大きく,蔑ろにされてはならない.その予防の第一は正確な術前診断に始まる.ここでは問診表の利用,患者の差恥心や痛みへの配慮,大腸疾患を念頭においた診療の重要性を強調しながら,後障害を術後早期(2週問以内)と晩期にわけて記述した.<BR>術後早期の障害としては(1)疼痛,(2)出血,(3)排尿困難,(4)腰麻後頭痛,(5)排便困難,(6)感染をとりあげ,晩期障害としては(1)創治癒遷延の問題,(2)肛門狭窄,(3)粘膜外翻,(4)肛門乳頭肥大,肛門皮垂,(5)便失禁,(6)再発をとりあげた.<BR>また,後障害と関係する全身性疾患,ことに出血素因性,糖尿病,白血病,直腸結腸癌,炎症性大腸疾患などのチェックポイントについても言及した.