イオン交換樹脂の多機能化と薬学分野への応用
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概要
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イオン交換樹脂は,溶液に含まれるイオンの分離,脱塩,不純物の除去などに広く利用されている。これらイオン交換樹脂への新しい機能の付与は,さらに多様な分野への応用を可能にする。これまでに,薬学領域での応用を目的として,(1)目的元素との選択的結合性,イオン交換反応性,イオン交換樹脂への強い物理吸着性を有する低分子試薬を用いて,イオン交換樹脂を選択吸着性樹脂へと変換する方法の開発,(2)高性能イオン交換クロマトグラフィー(IEHPLC)のためのカラム充填剤の合成と生体関連物質の分析,(3)アミノメチルホスホン酸型イオン交換樹脂を用いる不溶性高分子スズ錯体の作製と蛋白質の 99mTc 標識への応用,(4) 68Ge 吸着樹脂としての N-メチルグルカミン型樹脂を用いる 68Ge-68Ga ジェネレータの開発と PET 用核種 68Ga の製造,(5)イオン交換樹脂表面での脂質二分子膜構造の構築,を進めてきた。本稿では,これら,イオン交換体の多機能化による薬学領域への応用研究の内容を解説する。