2-Benzyloxycarbonylphenyl <I>traps</I>-4-guanidinomethylcyclohexanecarboxylate hydrochloridemonohydrate(TKGOI)と,そのβ-Cyclodextrin包接化合物(TA903)のラット実験潰瘍及び胃液分泌に対する作用
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概要
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TKG01とその無水物とのβ-cyclodextrin等モル包接化合物であるTA903の抗潰瘍作用と胃液分泌に対する作用を比較検討した.投与量は両化合物の共通構成成分であるTKG01無水物量で同量となるように設定した.水浸拘束ストレス潰瘍において,TA903は経口投与により用量依存的(100,300 mg/kg)な抑制作用を認めたが,TKG01は300 mg/kgにおいてのみ有意な抑制作用を認めた.塩酸ethanol潰瘍においてTA903は低投与量(30,100 mg/kg)で強力な抑制作用を認めたが,TKG01はこの潰瘍を抑制しなかった,indomethacin潰瘍において,TA903とTKG01はTKG01無水物量で100 mg/kg,300 mg/kgの経口投与でほぼ同程度の有意な抑制作用を認めた.幽門結紮ラットの胃液分泌に対し,TA903は十二指腸内投与により,胃液量,酸排出量,pepsin排出量を用量依存的(100,300 mg/kg)に抑制したが,TKG01は100,300 mg/kgにおいてpepsin排出量のみを抑制したにすぎなかった.以上の結果より,TA903はTKG01に比較してより幅の広い抗潰瘍作用を示すことが認められ,TA903の抗潰瘍作用機序は,細胞保護作用と胃液分泌抑制作用によるものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文