低ナトリウム食飼育ラットにおけるThiazide系利尿薬の尿酸排泄抑制作用
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概要
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thiazide系利尿薬の連用に伴う尿酸排泄能の変化について,ラットを用いた腎クリアランス法により検討した.一般飼料での飼育下にtrichlormethiazide(2 mg/kg, p.o.)を1日2回2週間連用した場合,軽度のヘマトクリット値上昇と明らかな低ナトリウムおよび低カリウム血症が発現するものの尿酸排泄能には変化が認められなかった,一方,ナトリウム無添加精製飼料での飼育下に本薬物(0.1,0.5および2 mg/kg, p.o.)を1日2回1週間連用することにより,尿酸のfractional excretion値の低下に基づく尿酸の排泄抑制が発現し,2 mg/kgでは糸球体濾過率の低下に基づく尿酸の排泄抑制がこれに加味された.同様の尿酸排泄抑制作用は,hydrochlorothiazide(10 mg/kg, p.o.)およびcyclopenthiazide(0.5 mg/kg, p.o.)処置によっても発現した.いずれの薬物投与においてもヘマトクリット値は顕著に上昇し血漿カリウム濃度は低下した.ナトリウム摂取の制限下にtrichlormethiazideを連用したラットにおいては,体重および飼料摂取量は減少し尿量および飲水量は増加した.これらの作用は使用した最小用量(0.1 mg/kg)で明らかに発現し,その際の変化は一般飼料での飼育下における本薬物の2 mg/kg連用の場合の変化よりも顕著であった.ナトリウム無添加精製飼料で1週間飼育したラットおよびその期間1日2回のtrichlormethiazide(0.5 mg/kg, p.o.)を処置したラットについて,腎臓の形態変化を検べた.ナトリウム摂取の制限によりmacula densa部は細胞増殖および管腔の拡張を生じ,薬物投与群においては,これらのより顕著な変化に加えて近位尿細管上皮細胞の扁平化や再生を伴う管腔拡張が認められた.以上の成績は,尿酸の排泄抑制に働くthiazide系利尿薬の性質を検討する目的にはナトリウム無添加精製飼料で飼育したラットを用いることが有用であることを示している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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