マウスの実験的慢性炎症性痙痛に対する各種鎮痛薬の作用
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概要
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圧刺激法により,マウス尾根部皮内に各種起炎剤(yeast,carrageenin,mustardおよびadjuvant)を注入した場合の疼痛閾値の経時的変化と,各種鎮痛薬の鎮痛効果を検討した,各種起炎剤をマウス尾根部皮内に注入して疼痛閾値を経時的に測定した結果,各起炎剤とも疼痛閾値の低下を示したが,10%yeastの場合に最も持続的で安定した疼痛閾値の低下が認められ,その作用ピークは注入6日後であった.鎮痛薬には,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),麻薬性鎮痛薬および麻薬拮抗性鎮痛薬を用い,正常マウスと各種起炎剤処置マウスに対する鎮痛効果を比較検討した.その結果,acetaminophen以外の薬物は,10%yeast処置マウスでの効果が最も低用量で有効で,この傾向は,酸性NSAIDsで顕著であった.また,10%yeast処置マウスを用い,中枢作用薬(抗精神病薬,抗不安薬,抗うつ薬,抗コリン薬,抗ヒスタミン薬および中枢性筋弛緩薬)の鎮痛効果を検討したが,いずれの薬物でも効果は認められなかった.以上の結果より,10%yeast処置マウスは,慢性炎症疼痛モデルとして有用性があり,特に酸性NSAIDsの鎮痛効果検定に使用可能な事が示唆された.