モルモット食道粘膜筋板におけるアドレナリン性受容体の薬理学的特徴
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概要
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モルモット食道粘膜筋板に存在するアドレナリン性受容体の特徴を明らかにするため,そのstrip標本の機械的反応を記録しつつ,カテコールアミン類や非カテコールアミン性交感神経興奮薬の作用とこれに及ぼすαおよびβ遮断薬の影響を検討した.propranolol(3μM)を前処置した標本に対してnoradrenaline(0.1〜300μM),adrenaline(0.1〜300μM),phenylephrine(1〜1000μM),methoxamine(1〜1000μM)はいずれも弱い収縮反応を示したが,isoproterenol(1〜300μM),dopamine(1〜300μM),clonidine(1〜300μM)はほとんど何の作用も示さなかった.noradrenaline(10μM)やadrenaline(10μM)による収縮はphentolamine(3μM)やprazosin(3μM)の前処置によって強く抑制されたが,yohimbine(3μM)による抑制は弱いものであった.さらに,これらの収縮はindomethacin(1μM),asphin(100μM),polyphloretin phosphate(30μg/ml)によっても強く抑制された。一方,phentolamine(10μM)存在下にcarbachol(3μM)で最大収縮を起した標本ではnoradren-aline,adrenaline,isoproterend,dopamine,terbutalineはいずれも用量依存的な弛緩を引き起し,そのpD<SUB>2</SUB>値の大きさはisoproterenol>noradrenaline>adrenaline >> terbutaline>dopamineの順であった.これらの薬物による弛緩はpropranolol,atenolol,butoxamineによって競合的に拮抗されたが,それらのpA<SUB>2</SUB>値の大きさはpropranolol>atenolol >> butoxamineの順であった.また,この弛緩はindomethacin(1μM)前処置によって何の影響も受けなかった.以上の成績から,モルモット食道粘膜筋板には,わずかな興奮性α<SUB>1</SUB>受容体と豊富な抑制性β<SUB>1</SUB>受容体が存在し,前者はさらに内因性prostaglandin類の生合成,遊離と連関している可能性が考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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