Acetylcholineおよび類似化合物の心臓作用
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概要
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acetylcholineおよび迷走神経刺激の心臓に対する作用をイヌ心肺標本で検討した.変力作用の指標として右房圧および心拍出量を,変時作用の指標として心拍数をそれぞれ測定した.acetylcholineは30μgより用量に比例した右房圧の上昇と心拍出量の減少を惹き起こしたが300μgまでは心拍数をほとんど減少せず,600μgで急激に減少が始まった.これらの作用はphysostigmine 100μgで著明に増強され,とくに心拍数の減少は用量依存的になった.acetylcholineの右房圧上昇および心拍出量減少作用は心拍数が変化しないようにpacingした標本でも同じようにみられた.acetylcholineの作用はpindololや6-hydroxydopamineで影響されず,atropineで遮断された.methacholineの作用はacetylcholineのそれと定性的に同じであったが,carbacholの作用はacctylcholineやmethacholineよりも強いだけでなく,右房圧の上昇や心拍出量の減少と共に心拍数の用量依存的な減少が見られた.またphysostigmineで増強きれなかった.一方,迷走神経刺激は心拍数を減少させ,同時に右房圧の上昇と心拍出量の減少とを惹き起こした.しかし,pacingした標本では迷走神経刺激による右房圧の上昇や心拍出量の減少はみられなかった.迷走神経刺激による効果はphysostigmineで増強され,atropineで遮断された.以上の結果と心房にはcholinesteraseが豊富に存在するということを考慮に入れるとacetylcholineが陰性変時作用を惹き起こしにくかったのは洞結節近辺に存在しているcholinesteraseによって分解されてしまい,洞結節に近づけなかったためと考えられる.一方,迷走神経刺激では神経終末から遊離されたacetylcholineは大部分cholinesteraseに接触することなく洞結節に作用するのであろう.なおpacingした標本での成績からacetylcholineによる陰性変力作用は心室筋のmuscarinic receptorに対する直接作用であるのに対し迷走神経刺激による陰性変力作用は心房機能抑制の間接的な結果であると考えられる.
著者
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