犬肝Mitochondria MAOに対する酸素濃度と諸種薬物の影響
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概要
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犬肝mitochondria MAOの複数性を基質特異性および各種阻害剤の作用の相違および酸素に対する親和怪の相違から検討した.犬肝mitochondria MAOはtyramineを特に強く酸化したが,他の基質はいずれも僅かしか酸化されなかった.犬肝MAO活性はA-MAOの特異的阻害剤であるclorgylineまたはharmineではいずれの基質を用いてもほとんど阻害をうけなかったが,B-MAOの特異的阻害剤であるdeprenylまたはpargylineはtyramineの酸化を強く阻害した.すなわち犬肝MAOはB-MAOに近いものである.MAO反応はアミン類が第1の基質で酸素が第2の基質となるピンポン機構により進行する,犬肝のMAOはこの第2の基質である酸素に対する親和性(Ko<SUB>2</SUB>)の相違から3つのグループに分類された.すなわちbenzylamineを基質としたときは親和性が最も高く,tyramine,tryptamine,hexylamine,β-phenylethylamineの場合は最も低く,serotonin,amylamhle,butylamineを基質としたときは中間の親和性を示した.この酸素に対する親和性の順序は基質特異性のそれとは無関係であった.この酸素に対するMAOの親和性に前記MAO阻害剤clorgyline,harmine,deprenyl,pargylineが如何なる影響を及ぼすかを検討したところ,犬肝mitochondria MAOの酸素に対する親和性はそれら阻害剤によって影響を受けないことが判明した.以上の結果より犬肝mitochondria MAOは特異的阻害剤の作用の強さや第1の基質であるアミン類での基質特異性の実験結果に関する限り主としてB-MAOであるが,そのB-MAOも決して単一なものではなく,酸素に対する親和性すなわちKo<SUB>2</SUB>の違いから判定するとさらに3つのグループに分類された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文