抗けいれん薬の脳内濃度と最大電撃けいれん変化との相関
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概要
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マウスにおける最大電撃けいれんの各種パラメーターのうち,どのパラメーターが抗けいれん薬の脳内濃度と最もよく相関するかを明らかにし,抗けいれん薬のスクリーニング法としての最大電撃けいれん法を再検討することを目的とした.最大電撃けいれんは加速度計を用いて考案した装置によって記録紙上に記録し,パラメーターとしてtonic flexion(TF),tonic extension(TE),clonic convulsion(CL)のそれぞれの持続時間,TEとTFの持続時間の比(TE/TF比),TEおよびCL発現時のマウスの体の振動の強さについて測定した.phenobarbita1(PB)の腹腔内投与によってTFの持続時間は延長し,TE,CLの持続時間は短縮した.したがってTE/TF比は小さくなった.TE時の体の振動は減少したがCLでは一定の変化を示さなかった.PB投与1時間後のこれらパラメーターとPB脳内濃度との相関は,TE/TF比が相関係数−0.901と最も高かった,phenytoin,carbamazepineおよびsodium valproateについてもPBと同様の検討を行い,TE/TF比と脳内濃度との相関係数はそれぞれ−0.816,−0.866および−0.879と高い値を示し,phenytoinおよびsodium valproateではいずれも最高の値であった.上記4薬物を含む主な抗けいれん薬9種について,投与量とTE/TF比との関係を検討した結果,tonic-clonic発作(いわゆる大発作)に有効な薬物はいずれも投与量が10倍以内の範囲でTE/TF比が0に近ずく急峻な作用曲線を示すのに対して,clonazepam,diazepam,ethosuximideおよびtrimethadioneは作用曲線の勾配がゆるやかで,明らかな違いが認められた.これらのことは最大電撃けいれんのパラメーターとしてのTE/TF比がtonic-clonic発作抑制薬のスクリーニング法として重要な指標となることを示している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文