モルモット膝関節内へのパパイン注入による実験的変形性関節症に対する高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(SL-1010)の効果
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概要
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モルモット膝関節内へのパパイン注入により発症した変形性関節症(OA)モデルを用い,高分子量ヒアルロン酸ナトリウム(SL-1010,分子量約180万〜210万)の効果を,組織学的および生化学的に検討した.なお,パパインによるOAモデルは主としてウサギで研究されているため,モルモットにおけるOAモデル作製の条件も合わせて検討した.パパイン(1%,0.1ml)の関節内注入6週間後において,滑膜は炎症像を呈し,軟骨の基質および細胞に変性変化,safranin-O染色性の低下ならびに硫酸化グリコサミノグリカン(S-GAG)量の減少が認められた.電顕による観察では,パパイン注入6週後において最表層の電子密度の高い不定形層状物質が消失するとともに,膠原線維の露出が認められた.また,細胞間基質の膠原線維は線維束を形成し,その配列は乱れ,太い線維も観察された.このOAモデルにおいて,1%SL-1010の0.1ml/kg関節内投与は滑膜の炎症を軽減し,軟骨変性の進行を抑制した.また,パパイン注入により低下した軟骨中のS-GAG量は,対照群に比べ有意に回復した.さらに,SL-1010投与群では,対照群においてパパイン注入時に電顕でみられた諸変化は認められなかった.以上の成績より,SL-1010はパパインにより発症したモルモットのOAモデルに対して,抗炎症作用および軟骨保護作用を示し,軟骨の変性を抑制すると考えられる.
著者
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田中 浩和
マルホ株式会社彦根研究所薬理研究
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鬼頭 康彦
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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桂巻 常夫
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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田中 浩和
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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田中 道子
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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北林 範子
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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藤森 茂樹
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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梅本 準治
マルホ(株)開発本部研究所大淀研究所
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難波 和彦
マルホ(株)開発本部研究所彦根分室
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鬼頭 康彦
マルホ(株)研究開発本部彦根研究所
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北林 範子
マルホ(株)研究開発本部彦根研究所
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梅本 準治
マルホ(株)開発本部研究所
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難波 和彦
マルホ(株)研究開発本部中央研究所
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田中 浩和
マルホ(株)研究開発本部彦根研究所
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