E3810のH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase阻害作用に関する研究
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概要
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ブタ言粘膜より調製したH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase及びウサギ胃腺標本での胃酸分泌に対する(±)-sodium 2-[{4-(3-methoxypropoxy)-3-methylpyridin-2-yl}methylsulfinyl]-1H-benzimidazole(E3810)の作用について検討した.E3810はH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase活性を濃度依存的に阻害し,そのIC<SUB>50</SUB>値は2.6×10<SUP>-7</SUP>Mであり,オメプラゾール(OPZ)に比べ約10倍活性が強かった.またE3810のH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase阻害活性は,インキュベーションメジウムのpHに依存し,酸性条件下で強かった.バリノマイシン及びMg・ATP存在下でプレインキュベーションしたとき,E3810のH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase阻害活性は,Mg・ATP非存在下でプレインキュベーションしたときのE3810のH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase阻害活性より約1000倍強かった.E3810,OPZによって阻害されたH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase活性はセファデックスG-50カラムでのゲルろ過による洗浄によって回復しなかったが,ジチオスレイトール(DTT)添加により回復した.ウサギ胃腺標本での低用量(3×10<SUP>-7</SUP>Mおよび5×10<SUP>-7</SUP>M)のE3810による胃酸分泌抑制作用は経時的に回復した.OPZにはこのような作用は認められなかった.以上のことより,E3810はOPZより強力なH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPase阻害剤であり,その作用はOPZと同様にプロトネーションで活性化を受けH<SUP>+</SUP>,K<SUP>+</SUP>-ATPaseのSH基を阻害することによって抑制するものと推察される.また,ウサギ胃腺標本でのE3810による酸分泌抑制作用の持続は短いものと推察された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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藤崎 秀明
Eisai Tsukuba Research Laboratories
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藤崎 秀明
エーザイ筑波研究所
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藤本 昌俊
エーザイ(株)
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竹口 紀晃
富山医科薬科大学薬学部
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若林 庸夫
エーザイ(株)筑波研
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藤崎 秀明
エーザイ(株)筑波研究所
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桶谷 清
エーザイ(株)筑波研究所
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柴田 寿
エーザイ(株)筑波研究所
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村上 学
エーザイ(株)筑波研究所
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山津 功
エーザイ(株)筑波研究所
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竹口 紀晃
富山医科薬科大学・薬学部
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藤本 昌俊
エーザイ(株)筑波研究所
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