Cephem系抗生物質のアルコール代謝系におよぼす影響(第1報) Cephem系抗生物質静注時におけるDisulfiram-like reaction
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概要
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cephem系抗生物質連続投与後のethanol(EtOH)経口投与における血中EtOHおよびacetaldehyde(AcH)濃度推移の影響をラットを用いて検討した.1)cefotiam,cefsulodinおよびcefazolin 500mg/kgを1日2回,3日間静注(総量3g/kg)は2g/kg EtOH負荷後の血中EtOHおよびAcH濃度に何ら影響しなかった.2)cefmetazole,cefamandoleおよびcefoperazoneの50〜200mg/kgを1日2回,3日間静注を上記同様に実験したところ血中EtOH濃度には無影響であったが,血中AcH濃度をEtOH負荷後8時間まで有意に上昇させ,それは用量依存的であった.3)disulfiram経口投与(500mg/kg単回あるいは1日1回,3日間連投)はEtOH負荷後の血中AcH濃度を長時間有意に上昇させたが,血中EtOH濃度を初期時間で有意に低下きせた.4)血中AcH濃度を上昇させたcephem系抗生物質の共通部分構造物である1-methyl-1H-tetrazole-5-thiol(TZ)の単回静注(500mg/kg)は,血中EtOH濃度には無影響であり,血中AcH濃度を有意に上昇させた.他方,cefotiamの類似部分構造物である1-(2-dimethylamino-ethyl)-1H-tetrazole-5-thiol(MTZ)の単回静注(500mg/kg)は血中EtOHおよびAcH濃度には無影響であった.5)血中AcH濃度上昇を示したcephem系抗生物質およびTZはdisulfiramと異なり血中EtOH濃度には無影響であり,作用態度の差が認められた.以上の結果からcephem系抗生物質によるdisulfiram-like reactionは血中のAcH濃度上昇に基づくものと考えられ,またそのためにはcephem系抗生物のアミノセファロスポラン酸の3位置換基が重要で,TZ構造を持つものは臨床上アルコールと強い相互作用を示すと考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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柳原 雅良
岐阜大医
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柳原 雅良
肢阜大学医学部薬理学教室
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岡田 謙司
肢阜大学医学部薬理学教室
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野崎 正勝
肢阜大学医学部薬理学教室
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鶴見 介登
肢阜大学医学部薬理学教室
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藤村 一
肢阜大学医学部薬理学教室
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