糖質コルチコイドによるバクロフェンの筋弛緩作用増強
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概要
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baclofenの薬理作用,特に筋弛緩作用に及ぼすhydrocortisone及びprednisolone前処置の影響を主に8週齢ラットを用いて検討した.1)hydrocortisone(10mg/kg,s.c.)15分前処置はbaclofen(5mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用時間を溶媒前投与群に比し有意に延長させた.prednisolone(2mg/kg,s.c.)前投与もbaclofenの筋弛緩時間を有意に延長させた.tolperisone(50mg/kg,i.p.)及びmephenesin(80mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用もhydrocortisone前処置により延長した.hydrocortisone前投与がdiazepam(2mg/kg,i.p.)の筋弛緩作用に及ぼす影響は小であった.また,塩化suxamethonium(0.01mg/kg,i.p.)による筋弛緩時間もhydrocortisone前処置の影響をうけなかった.2)hydrocortisone2mg/kgあるいはprednisolone 0.4mg/kgの一週間連続皮下投与24時間後,baclofen 5mg/kgによる筋弛緩時間は雌においては溶媒群に比してむしろ有意な減少を示した.prednisolone雄群においては延長を認めたが,急性前投与に比しその程度は小であった,3)baclofenの鎮痛効果および体温下降作用に対してhydrocortisoneの影響は認められなかった.4)<SUP>3</SUP>H-baclofenをトレーサーとしてbaclofenの組織内取り込みを調ぺた.5分後の<SUP>3</SUP>H-baclofenの取り込みが小脳,延髄,海馬において,hydrocortisone前処置群で有意に高値を示した.脊髄への<SUP>3</SUP>H-baclofen取り込みはhydrocortisone前処置群ではむしろ減少を示した.以上,ラットにおいてhydrocortisone及びprednisoloneの急性前投与は中枢性筋弛緩薬の筋弛緩作用のみを増強させることが明らかとなった.また,hydrocortisoneによるbaclofenの筋弛緩時間の延長は,脊髄よりも主に脳内のbaclofen作用部位を介して発現する可能性が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文