Filtration pressure 法による血小板凝集の研究
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概要
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Hornstra の “filter loop” 法をイヌに適用し,ADP 凝集に対する種々薬物の作用につき検討した.ADP による血小板凝集は filter 前方圧の一過性で可逆性の上昇として観察された.この反応には再現性が認められ,かつ用量依存性であった.この実験系において PGI<SUB>2</SUB> および PGE<SUB>1</SUB> は ADP による圧上昇を抑制し,かつ自然に上昇した圧を下降せしめた.すなわち,PGI<SUB>2</SUB> および PGE<SUB>1</SUB> は ADP 凝集を抑制するばかりでなく,既に凝集した血小板を解離させる作用をもつことが再確認された.抗炎症薬である indomethacin により ADP 凝集反応は増大し,時には不可逆反応へと進展した.これは凝集抑制性の PG が常時循環血中に存在する事を示唆するものと考えられ,興味深い.炎症の mediator のひとつである bradykinin は,近接動注では ADP 凝集を抑制しなかったが,静脈内投与ではこれを抑制した.この抑制作用は indomethacin 処置で消失するので bradykinin により ADP 凝集抑制性の PG(PGI<SUB>2</SUB>?)の遊離(おそらく肺から)が考えられた.また,冠拡張薬として代表的な dipyridamole および nifedipine を選び ADP 凝集に対する作用を検討したが,今回使用した用量ではすでに報告されているような抑制作用は認められなかった.痛風の治療薬であり,最近,心筋硬塞の発作予防に有効であると報告されている sulfinpyrazone の作用についても検討したが凝集抑制作用は認められなかった.本実験モデルの利点は Hornstra の “filter loop” 法同様,循環血の状態で血小板の凝集および解離反応を連続的に定量測定できることにあり,そのため薬物を全身投与して血圧,心拍数などの循環動態の変化との関連において血小板凝集に対する作用につき検討できるので薬物作用の検索には有力な武器となるものと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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