摘出ウサギ大動脈標本の供血ウサギによる血液灌流法 ―負荷圧と薬物反応性―
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概要
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我々は,無麻酔下の供血ウサギを用いて摘出ウサギ胸部大動脈を灌流する方法を新たに考案し,標本の負荷圧の増減と血管反応性変化との関連性や各種血管作働物質による血管反応性について検討した.この血液灌流標本における血管の収縮および弛緩反応は標本を収納したガラス製収納容器内圧の減少あるいは増加として圧トランスジューサーによりそれぞれ記録された.血管標本への負荷圧は,収納容器内圧(ICP;10〜20,30〜40,60〜70mmHg)と灌流系に直列に装置したスターリング空気抵抗装置の圧(PRP;60,120mmHg)の変換によって調整された.標本への負荷圧と <I>dl</I>-norepinephrine(NE;0.01〜0.1μg/kg,i.a.)による収縮や<I>l</I>-isoproterenol(Iso;0.1〜3.0μg/kg,i.a.)による弛緩反応性変化についての結果より,薬物への血管応答性を収縮および弛緩の両面より把握する至適負荷圧はICP10〜20mmHg,PRP60mmHgであった.NEによる収縮やIsoによる弛緩反応および反応持続時間はいずれも用量依存的であり,phentolamine(3mg/kg,i.v.)や<I>dl</I>-propranolol(0.5mg/kg,i.v.)でそれぞれ著明に抑制された.摘出血管条片ではNEおよびIsoのいずれによっても張力の上昇が濃度依存的に認められ,後者の薬物反応は血液灌流標本のそれと定性的に異なっていた.麻酔薬の影響,灌流液温度,灌流栄養液による酸素供給あるいは末梢血管抵抗の有無といった種々の問題点を考慮すると,我々が今回新たに開発し,無麻酔供血ウサギを用いて末梢血管抵抗を模擬的に負荷し得る血液灌流血管標本は,薬物への応答性の面からのみならず生化学的,生理学的検索にも極めて有用といえる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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