Verapamilのラット心機能に及ぼす影響の性差および年令差
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概要
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ラットにおいて,verapamil 1回静脈内投与後の心電図変化に著明な性差を見いだした.そこでverapamilの作用に対する性ホルモンの関与を検討した.成熟雄ラットではverapami1 0.5mg/kg投与時,心電図上全例に1度房室ブロック(以下AVブロック),PR間隔で28%の延長を認めた.1mg/kg投与時は全例に2度以上のAVブロックを認め心拍数は約50%低下した.2mg/kgでは全例に3度以上のブロックを認めた.これに対し雌では1mg/kg投与時にはじめてPR間隔延長が見られたが,心拍数に変化は無かった.2mg/kgで雌にも雄と同様のAVブロック,心拍数減少を認めた,verapamil 1mg/kg投与時の反応の年齢差を観察すると,7週齢までは雌雄ともに心拍数に大きな変化は認めなかった.性成熟開始期の8週齢で雄がAVブロックを発現しはじめ11週齢でほぼ成熟期と同様の反応を呈した.雌では成熟による反応性の変化は見られなかった.雌雄ラットを幼若期あるいは成熟期に去勢するといずれの場合もverapamilに対する反応性は正常雌雄の中間型となった.testosterone20mg/kg2時間の前投与により去勢群雌雄,偽手術群雄で基礎心拍数の著明な低下が見られ,去勢群雌においてはverapamil投与後に著明なAVブロックと心拍数低下を認めた.estradiol-17β 1mg/kg前投与では去勢群雄が対照に比し若干の基礎心拍数減少を示したのみであった.以上よりラットにおいては心臓の房室結節におけるverapamilの作用点にtestosteroneが何らかの関与をしている事が示された.