Dilazep の正常時脳血流および脳虚血後の再潅流障害に対する作用
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概要
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dilazep の正常時脳血流および脳虚血後の再灌流障害に対する作用を麻酔犬を用いて検討した.正常時脳血流に対して dilazep は100および300μg/kg,i.v. 投与により用量依存的な増加作用を示したが,動脈血ガス分圧および pH には変化が認められなかった.あらかじめ両側椎骨動脈結紮を施したイヌに10分間の総頸動脈の閉塞を加えると,閉塞時に約40%の血流減少がみられ,CCA の閉塞解放後も30,60,90および120分後の各時点においてそれぞれ15,20,23および25%の血流減少を示し,いわゆる再灌流障害が観察された。CCA の閉塞解放後120分では,灰白質の水分含量,Na 含量の増加および K 含量の減少がみられ,軽度ではあるが,脳浮腫の発現傾向が認められた.CCA 閉塞30分前に dilazep 100 および 300μg/kg を投与した群では,閉塞時の血流減少には control 群との間に差は認められなかったが,CCA 閉塞解放後の血流は解放30分において閉塞前のレベルにほぼ回復し,再灌流障害に対する改善作用が認められた.また対照薬の papaverine 300μg/kg投与群においても再灌流障害改善作用が認められた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文