家兎,ラット脳および血球中の ChE に対する Benzoylcholine の影響
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概要
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家兎,ラット脳 mitochondria および赤血球中の cholhlesterase(ChE),ヒト赤血球中の ChE に対する benzoylcholine(BzCh)の影響を検討した.ChE 活性は Ammon の Warburg 検圧法によって測定した.脳および赤血球中の ChE は acetylcholhle(ACh),acetyl-β-methylcholine(MeCh),butyrylcholine(BuCh)を加水分解するが,BzCh を全く分解しなかった.家兎,ラット脳および家兎,ラット,ヒトの赤血球を用い,基質として ACh または MeCh を用いたそれぞれの場合の ChE 活性に対する種々濃度の BzCh 添加の影響を検討したところ,いずれの濃度の BzCh においても著明な阻害が認められた.特に脳の ChE は ACh または MeCh を基質とした場合,10mM BzCh 添加により MeCh の場合はその活性が約1/3に,ACh の場合は約1/4に減少した.脳および赤血球中の ChE の Ach および MeCh を基質とした際の pS 曲線に対しBzCh はいずれの濃度に於ても強い阻害作用を示したが,特に MeCh 基質の場合には基質の何れの濃度の場合も同程度の阻害が認められたが ACh の場合は高濃度基質による阻害に拮抗し pS 極大は基質の高濃度へ移動した.この BzCh による ChE 活性阻害作用は可逆的でありまた基質 ACh および MeCh に対し競合的であった.また,これら両酵素の MeCh に対する Km は両者とも4.5Mであった.BzChはこれら両酵素に対する DFP の阻害作用に対し保護作用を示した。以上の結果から BzCh は true ChE により加水分解されることはないがこの酵素の活性中心に対し特別の親和性を持っていることが示唆された.