新規抗悪性腫瘍剤MCNUの薬理学的研究
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概要
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nitrosourea系制癌剤MCNUの薬理作用について主に静脈内投与により検討を行った.MCNUはマウスの行動,ウサギの脳波,ネコの脊髄反射,ウサギの体温およびマウスの協調運動に影響を及ぼさず,また,マウスにおいて麻酔増強,抗痙攣および鎮痛作用を示さなかった.MCNUはイヌの呼吸,血圧,心拍数,心電図およびラットの摘出心房の収縮に影響を与えなかったが,100μg以上でウサギの摘出耳介血管を拡張させた.MCNUはモルモットにおいて局所麻酔作用を示さず,ラットの横隔膜-横隔神経筋標本の収縮に影響を及ぼさなかった.MCNUはモルモットおよびウサギの回腸,ラットの輸精管,子宮の収縮にほとんど影響を与えず,マウスの消化管輸送能,瞳孔径およびネコの瞬膜の収縮に影響を示さなかった.ラットの胃液分泌に対し25mg/kgで弱い抑制作用を示した.MCNUは12.5mg/kg以上でマウスの白血球数を減少させた,この減少は投与2週間後にはほぼ回復した.MCNUは25mg/kgでマウスの体液性免疫能,細胞性免疫能を抑制した.網内系機能には影響を及ぼさなかった.MCNUはウサギにおいて0.1%以上の溶液を点眼,あるいは0.5%以上の溶液を皮下または皮内投与すると局所刺激作用を示した.ラットの胃腸管に対する障害はごく軽度であった.MCNUはラットの血糖,腎機能,肝機能に影響を及ぼさず,抗炎症,利尿作用およびイヌにおける溶血作用を示さなかった.MCNUは50mg/kgでラットの血液凝固能を抑制し,イヌにおいて4mg/kg以上で嘔吐,5mg/kg以上で下痢を発現した.以上のように,MCNUの主な薬理作用は白血球減少,局所刺激,および免疫抑制であった.白血球減少作用はchlorozotocinよりも強いが,CCNUよりも弱く,その他の作用はこれらの薬剤よりもやや弱いが,あるいは同程度の強さであると考えられた.
著者
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関戸 祥三郎
東京田辺製薬開発研究所
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細野 仁一
東京田辺製薬(株)研究所
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平塚 幸蔵
東京田辺製薬(株)研究所
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荒木 勉
東京田辺製薬(株)研究所
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岩崎 守男
東京田辺製薬(株)研究所
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関戸 祥三郎
東京田辺製薬(株)研究所