Tazanolast(WP-833)代謝物の抗アレルギー作用
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概要
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WP-833の代謝物である3-(1H-tetrazol-5-y1)oxanilic acid(MTCC),3-(1H-tetrazol-5-yl)aniline(MTA)および3-(1H-tetrazol-5-yl)acetanilide(MTAA)のラットおよびモルモットhomologous passive cutaneous anaphylaxis(PCA)および腹腔肥満細胞または肺切片からのhistamineあるいはSRS-A遊離におよぼす影響について検討した.MTCCはラットおよびモルモットhomologous PCA反応に対し,静脈内投与において用量依存的な抑制を示し,その抑制作用はWP-833とほぼ同程度であった.また,腹腔肥満細胞および肺切片からの抗原一抗体反応によるhistamineあるいはSRS-A遊離に対しても抑制作用を示し,その作用は,SRS-A遊離に対しより強かった.MTAおよびMTAAもラットおよびモルモットhomologous PCA反応抑制作用を示すものの,作用発現に要する用量はWP-833に比し高く,腹腔肥満細胞からの抗原-抗体反応によるhistamine遊離に対しても10-4g/mlと高濃度においてのみ抑制を示すYとどまり,モルモット肺切片からのhistamineおよびSRS-A遊離に対しては明らかな抑制を示さなかった.よって,抗アレルギー作用発現にはoxanilic acid部が重要な役割を有することが推察された.また,MTCCは経口投与においてもラット48hr homologous PCAを抑制したが,WP-833と同等の効果発現に要する用量はWP-833の約6倍であり,WP-833の消化管からの吸収にbutyl ester部位が重要であることが示唆された.以上の結果より,MTCCはWP-833とほぼ同程度の活性を有しているが消化管からの吸収が悪いこと,MTAおよびMTAAの活性はWP-833に比し低いことが明らかとなった.また,WP-833経口投与時,血中ではMTA及びMTAAはごく少量しか検出されておらず,薬理効果は主としてMTCCによると推察された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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橋本 光正
わかもと製薬株式会社相模研究所
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内藤 聡
わかもと製薬株式会社
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枝浪 謙一
わかもと製薬(株)研究部
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佐野 和珠
わかもと製薬(株)研究部
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伏見 弘子
わかもと製薬(株)研究部
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後藤 正義
わかもと製薬(株)研究部
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橋本 光正
わかもと製薬(株)研究部
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内藤 聡
わかもと製薬(株)研究部
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