中枢性鎮痛薬Eptazocineのモルモット回腸,マウス輸精管標本におけるオビオイド受容体サブタイプ選択的作用
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概要
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摘出臓器標本を用いた電気刺激法により,中枢性鎮痛薬eptazocineとナビオイド受容体の相互作用について代表的なオピオイドと比較検討した.μ-,κ-受容体優位の摘出モルモット回腸標本の電気刺激による収縮に対して,eptazocine(10<SUP>-5</SUP>M)は僅かな減弱効果を示し,この作用にnaloxone(10<SUP>-7</SUP>M)は拮抗した.この標本においてμ-アゴニストmorphine(3×10<SUP>-7</SUP>M)による作用は,eptazocine(10<SUP>-5</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)によって完全に拮抗された.一方,δ-,μ-,κ-受容体優位の摘出マウス輸精管標本で,eptazocineは10<SUP>-7</SUP>Mから濃度依存的に減弱効果(IC50値=3,387nM)を示し,この効力は,morphineの1/5,κ-アゴニストU50,488H,ethylketocyclazocine(EKC)の1/200,1/630であった.eptazocineのこの効果は他のオピオイドと異なりnaloxoneによっては回復せず,κ-選択的なアンタゴニストMR-2266(10<SUP>-6</SUP>M)で回復した.naloxone前処置標本において求めたeptazocineに対するKe値(平衡解離定数)325nMは,比較したオピオイドの中で最も高値で,morphine(5.20nM)の62.5倍となった.一方,MR-2266のeptazocineに対するKe値は33.2nMで,ナビオイド受容体K-サブタイプ選択性の指標としてKe値の比(325/33.2)を求めると9.79となり比較したアゴニストの中で最も高い数値を示した.これらの結果からeptazocineは,アゴニスト作用は弱いがκ-受容体により選択性の高い,μ-アンタゴニスト-κ-アゴニストであると考えられる.