ラット肝臓のEpidermal growth factor受容体の性差とその発現機構
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概要
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雌雄のラットの肝細胞膜に結合する<SUP>125</SUP>I-epidermal growth factor(EGF)量とEGF受容体のリン酸化活性におよぼす種々の内分泌学的処理の影響について検討した.成熟雄ラットの肝細胞膜に結合するEGF量は,成熟雌の約2倍の値であった.Scatchard解析による結果から,EGF結合量の性差は,膜分画中のEGF受容体の数の違いによるものであることが判明した.雌雄ラットの肝臓のEGF受容体数は,加齢とともに増加し,4週齢以後に明らかな性差が認められた.雄ラットを成熟期に去勢すると,肝臓のEGF受容体数はわずかに減少した.雄ラットを新生仔期に去勢した場合には,成熟後の受容体数は,雌のレベルにまで減少した.新生仔期に去勢した雄ラットに,生後241時間以内にtestosterone(TP)を1回投与した後,成熟期にもTPを投与すると,受容体数は正常雄のレベルにまで回復した・成熟期に脳下垂体を摘除した場合,受容体数は雌雄ともに正常雌レベルとなり,性差は完全に消失した。脳下垂体を摘除した雌雄のラットにTPあるいはtriiodothyronineを投与しても,受容体数に変化は認められなかった,正常雄ラットにヒト成長ホルモン(hGH)を浸透圧ポンプを用いて持続注入した場合,受容体数は雌のレベルにまで減少した,一方,正常の雌ラットあるいは脳下垂体を摘除したラットに,上記と同量のhGHを1日2回皮下投与すると,受容体数は正常の雄レベルにまで増加した.以上の結果から,ラット肝臓のEGF受容体数の性差の発現には,新生仔期のandrogenによるインプリンティング機構が関与していることが明らかとなった.さらに,成熟期に認められる成長ホルモンの分泌パターンの雌雄差が,肝臓のEGF受容体の数を制御していることが強く示唆された.
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