腎細胞カルシウム代謝に対する1α-Hydroxycholecalciferolの影響
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概要
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正常ラットおよび低CaビタミンD欠乏食で飼育したラットに1α-hydroxycholecalciferolを投与し,腎臓を摘出後その皮質からミトコンドリア,ミクロゾーム分画ならびに切片を調製した.ミトコンドリアのCaとり込み能,Ca<SUP>2+</SUP>-ATPaseおよびMg<SUP>2+</SUP>-ATPase,ミクロゾーム分画の両ATPase活性ならびに切片におけるCa輸送のそれぞれに対する1α-hydroxycholecalciferolの影響を検討し,以下の実験成績を得た.1)1α-hydroxycholecalciferolの投与により,反応液からミトコンドリアへのCaとり込み量は増大し,長時間(90分)の反応においてもCaの保持に優れる傾向を得た.2)ミトコンドリアのCa<SUP>2+</SUP>-ATPaseおよびMg<SUP>2+</SUP>-ATPase活性は,低CaビタミンD欠乏食飼育により低下したが,1α-hydroxycholecalciferolの投与により正常ラットの比活性値に回復した.3)1α-hydroxycholecalciferolはミクロゾーム分画のCa<SUP>2+</SUP>-ATPaseおよびMg<SUP>2+</SUP>-ATPase活性に影響をおよぼさなかった.4)切片におけるCaのinfluxおよびeffluxは1α-hydroxycholecalciferolにより有意な影響を受けなかった.以上の結果から,1α-hydroxycholecalciferolは,腎臓に作用することが示唆され,作用部位は,ミトコンドリアにおけるCa蓄積過程およびATP水解酵素系であると考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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