N-Ethyloxycarbonylaminomethyl-L-isoleucineに対する腫瘍細胞の薬物感受性の相異について
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概要
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豊島,瀬戸,藤田と福島は,約350のアミノ酸関連化合物の抗腫瘍性について,評価を行い,N-ethyloxycarbonylaminomethyl-L-isoleucineが数種の実験腫瘍に対し抑制効果を有し,かつ極めて毒性の低いことを見出し,A-145と仮に呼称した.A-145はエールリッヒ腹水癌細胞に対する方がザルコーマー180細胞に対するよりも抑制効果の強いことが見出された.A-145のエールリッヒ細胞に対する化学療法係数は14.9であり,これに対しザルコーマ180細胞に対するそれは4.2であった.In vivo実験において,<SUP>14</SUP>C-A-145のエールリッヒ細胞に対するとり込みは,ザルコーマ180細胞におけるより高いものであった.すなわち,30分測定値でのエールリッヒ細胞/ザルコーマ180細胞のとりこみ比は1.52であり,24時聞後では2.7である.<SUP>14</SUP>C-A-145は両腫瘍細胞とも核とCytosol分画に多くとり込まれていた.このとり込みは,温度感受性,glucose依存性であり,Potassium Cyanate,2.4-dinitrophenolまたはiodoacetic-acidの添加でとり込みは低下した.In vitro実験では,<SUP>14</SUP>C-A-145の両細胞でのとり込みは,L-isoleucineによりせり合い的に拮抗された.しかし,A-145のin vitroの細胞増殖抑制の点で,L-isoleucineの拮抗をみると,ザルコーマ180細胞では拮抗は見出されなかった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文