新しい長時間持続性の選択的β<SUB>2</SUB>-作動薬であるSN-408の薬理作用
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概要
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SN-408の気管支拡張作用および関連した薬理作用をisoproterenol,salblltamolおよびprocaterolと比較検討した.SN-408はモルモット摘出気管において濃度依存性の弛緩作用を示し(EC50は約1nM),この作用は内因性力テコ―ルアミンの枯渇には影響されず,propranoldにより拮抗された.弛緩作用の強さは,procaterol>SN-408≥isoproterenol>salbutamolの順であるが,SN-408による弛緩作用の持続時間は他のβ-agonistsに比べてはるかに長かった.モルモット摘出右心房ならびに摘出左心房におけるSN-408の陽性変時作用および陽性変力作用は他のβ-agonistsに比較して弱く,SN-408の10μMにおける作用はisoproterenolの最大作用のそれぞれ26.8%および5.5%にすぎなかった.モルモット摘出肺組織において,SN-408はcyclic AMP量を濃度依存性に増加した.一方in vivoにおいては,histamine,serotoninあるいはacetylcholineによるモルモット気道収縮反応をSN-408は静脈内投与により用量依存性に減少した.また,SN-408の吸入投与はhistamine,acetylcholineさらに抗原噴霧によるモルモット喘息症状の発現時間を用量依存性に延長した.気管支拡張作用の強さは,procaterol>isoproterenol>SN-408>salbutamolの順であるが,SN-408の作用持続時間は他のβ-agonistsよりもはるかに長かった.SN-408を30日間連続吸入投与しても気管支拡張作用に耐性の発現を示す証拠は認められなかった.SN-408はモルモットにおいて静脈内投与および吸入投与により用量依存性の心拍数増加作用を示したが,SN-408の影響は軽度であり,特に,吸入投与では気管支拡張作用量(EC50値)の30〜50倍の高用量においても僅かな心拍数増加を示しただけであった.マウスにおいて,SN-408の静脈内投与は酢酸による血管透過性亢進を抑制した.以上の結果はSN-408が作用の持続が長くかつ選択的なβ2-作動性の気管支拡張薬であることを示している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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西村 一
日本グラクソ(株)東京研究所
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沖山 雅彦
日本グラクソ(株)東京研究所
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藤原 肇
日本グラクソ(株)東京研究所
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工藤 眞理子
日本グラクソ(株)東京研究所
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清水 真由美
日本グラクソ(株)東京研究所
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前田 真理子
日本グラクソ(株)東京研究所
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山田 眞由美
日本グラクソ(株)東京研究所
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年光 芳信
日本グラクソ(株)東京研究所
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年光 芳信
日本グラクソ (株) 東京研究所薬理
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