L-Cysteineおよびその関連化合物のIn vitroにおけるEhrlich腹水がん細胞増殖促進作用
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概要
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L-cysteine(L-CYS)およびその関連化合物のin vitroにおけるEhrlich腹水がん細胞増殖促進作用を検討した.基礎培地(BM)では,細胞はほとんど増殖しなかったが,BMに0,5〜2mMのL-CYSを添加することにより,細胞の増殖がみられた.1mMのL-CYSが添加されたBM内のfree SH量は添加24時間後,L-CYS非添加BM内のそれとほとんど同じであった.この時点で細胞をこのL-CYS加BMに移植し培養したところ,1mM L-CYSをBMに添加し,その直後に細胞を移植して培養した場合とほぼ同様の細胞増殖促進効果が得られた.―方,L-CYSの代謝産物であるL-cysteine sulfinic acid,hypotaurineおよびtaurineではL-CYSに比べ細胞増殖促進活性は低下した.またS-methyl-L-cysteineおよびS-benzyl-L-cysteineおよびD-cysteineには作用はなかったが,L-cystineはL-CYSと同程度の活性を示した.他方,L-CYS添加BMで培養された細胞のタンパクSH量は不変であったが,細胞内freeSH量は有意に増加した.以上の結果から,基礎培地に添加されたL-CYSは一旦非SH化合物(おそらくL-cystine)に変化して細胞内に取り込まれ,細胞内のfree SH量を増加させることによって細胞増殖効果をもたらすと思われる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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吉田 純子
金沢医科大学生体情報薬理学(薬理学)
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鈴木 史郎
金沢医科大学薬理
-
高村 省三
金沢医科大学薬理
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鈴木 史郎
金沢医科大学薬理学教室
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高村 省三
金沢医科大学薬理学教室
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吉田 純子
金沢医科大学薬理学教室
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