Paper disk granuloma法におけるFluocinolone acetonideの抗肉芽作用について
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概要
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Paper disk granuloma法を用いてfluocinolone acetonide(FA)の抗肉芽作用の作用機序を調べ次の成績を得た.1)FAの抗肉芽作用は副腎摘出の影響を受けなかった.2)FAは肉芽組織の湿重量と蛋白量:とを同程度減少させた.さらにRNAおよびDNA量を減少させ,またRNA/DNA比を低下させた.3)Leucineの肉芽組織蛋白への取り込みは3日目の肉芽で最大となり以後は減少した.また,FAの投与でこの取り込みは著しく抑制された.4)FA投与でorotic acidの肉芽組織RNA分画への取り込みは顕著に抑制された.5)FAのin vitro添加でuridineの取り込みは抑制されたが,leucineやthymidineの取り込みは抑制されなかった.6)FAはuridineのmicrosome RNAへの取り込みを抑制し,またcytosol RNAへの取り込みを抑制する傾向を示した.7)FAの一回投与でuridineのRNAへの,またleucineの蛋白への取り込みおよびthymidineのDNAへの取り込みは抑制された.8)Puromycin(5mg/kg)の局所投与でleucineの肉芽組織への取り込みは抑制された.9)Puromycinの前処置で,FA投与によるthymidineの取り込み抑制作用は打ち消された.しかし,FA投与後にpuromycinを処置した場合にはFAの作用は打ち消されなかった.これらのことから,FAの抗肉芽作用は核酸合成系に対する抑制作用で一部説明でき,RNA合成阻害によって発揮されることがわかった.また,FAのDNA合成抑制作用は,FAが合成させる特殊蛋白を介して発現することが推定された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文