カラゲニン誘発プロスタグランディンE<SUB>2</SUB>介在性ラット足蹠浮腫に対するシアル酸の抑制作用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
シアル酸(SIA)について抗炎症作用の見地から,カラゲニン(Car)空気嚢炎症滲出液中のSIAの有無,およびCar誘発足蹠浮腫に対するSIAの抗炎症作用機序をラットを用いて検討した.Car空気嚢炎症ラットでは空気嚢滲出液中にSIAが存在(113.20±10.73μg/m1)し,その血漿SIA量(660.29±29.38μg/ml)は対照ラットの血漿SIA量(490.00±29.37μg/m1)に比べ有意に高値を示した,SIA(300mg/kg,s.c.)の30分前投与は,Car誘発足蹠浮腫第1相には影響しなかったが,プロスタゲランディン(PG)系が関与する第2相を有意に抑制した.さらにSIAはCar+アラキドン酸,Car+PGE<SUB>2</SUB>およびブラジキニン+PGE<SUB>2</SUB>混合浮腫に対しても抑制を示したが,デキストラン,ヒスタミン,ブラジキニンの単独浮腫およびCar+PGE<SUB>1</SUB>混合浮腫には影響しなかった.これらの結果より,SIAの抗炎症作用にはPGE<SUB>2</SUB>抑制の関与が示唆された.従って,SIAとPGE<SUB>2</SUB>の係わりを検討したところ,SIAはラットにおけるPG生合成およびモルモット回腸の〔<SUP>3</SUP>H〕PGE<SUB>2</SUB>-受容体結合には影響しなかったが,モルモット回腸のPGE<SUB>2</SUB>誘発収縮を抑制した.本実験結果はSIAがPGE<SUB>2</SUB>介在性浮腫に対する抑制作用を有することを示し,炎症滲出液中のSIAの存在と血漿中に,より高濃度に存在するSIAは,SIAがさまざまな炎症状態において生理的防御機構に関与している可能性を示唆する.
著者
関連論文
- 5. 単一神経細胞染色法による視床皮質路の軸索投射パターンの形態学的解析(B. 平成15年度プロジェクト研究報告,第58回 東邦医学会総会)
- Mechanism of Amantadine-induced Vomiting in the Pigeon
- 実験動物における Cisplatin 誘発嘔吐
- 立体異性体の薬力学的作用と薬物動態
- Propranololの非ステロイド抗炎症薬の鎮痛,抗炎症作用への影響
- カラゲニン誘発プロスタグランディンE2介在性ラット足蹠浮腫に対するシアル酸の抑制作用