ラット腹側前立腺アデニル酸シクラーゼ系の生後変化
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概要
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ラットの週齢に伴う腹側前立腺のアデニル酸シクラーゼ系の機能の生後変化を追究し,〔<SUP>3</SUP>H〕dillydroalprenolol結合のB<SUB>max</SUB>値は生直後より著しく増加し,16週齢で最大に達し,さらにこのレベルが104週齢まで維持されていた.またアデニル酸シクラーゼ(AC)のイソプロテレノール(IPR)に対する反応性も生直後より増強されて8週齢で最高に達した.しかしその後この反応性は16週齢のレベルまで急激に低下して以後104週齢までほぼこのレベルが維持されていた.―方,フォルスコリン(F)に対するACの反応性は2週齢のラットにおいて最も高く,8週齢のレベルまで急激に低下し,以後はこのレベルが104週齢まで維持されていた.即ち,ACのIPRおよびFに対する反応性は生直後より8週齢までの間で全く逆になることが明らかにされた.〔<SUP>35</SUP>S〕GTPγSとGTP結合タンパク質との結合は生直後より8週齢まで著しく増加して最大となり,16週齢のレベルまで低下して以後このレベルは104週齢まで維持されていた.促進性GTP結合タンパク質(Gs)および抑制性GTP結合タンパク質(Gi)は生後8週齢まで増加して最大となり,その後減少した.また,いずれの週齢においてもGs,Giはほぼ等量存在していた.これらの結果から,ラット腹側前立腺アデニル酸シクラーゼ系において,β-アドレナリン受容体およびGTP結合タンパク質とGTPとの結合能は成長期においては平行した動態を示すが,成熟期や老齢期においては両者は異なった動態を示すことが明らかにされた.GTP結合タンパク質とGTPとの結合能の生後変化はACのIPRに対する反応性の生後変化とよい対応を示しており,この変化がAC活性を調節して,β-受容体を介する細胞内情報伝達系の機能の変化に影響を及ぼすと考えられる.