Adjuvant関節炎ラットにおける全身性反応とそれらにおよぼす抗炎症薬の影響
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概要
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ラットadjuvant関節炎モデルを用いて抗炎症効果を評価する際に,その指標として局所の炎症反応と共に,炎症の進展に伴って現われる種々の全身性反応を用いる意義について検討し,次に結果を得た.1)局所の炎症反応は慢性炎症に有効な薬物(drugs eflbctive for chronic infiammatory disease, DECI)により強く抑制されたが,また塩基性抗炎症薬,tranquilizers,利尿薬,毒物あるいはcounter irritantによっても軽度ではあるが抑制された.2)albuminおよびserum turbidityの減少,あるいはserum lysozyme activityおよびtotal Polysaccharide protein ratioの増加に対する改善作用はDECIでのみ明らかであった.3)total serum polysaccharideおよびmucoprotein polysaccharideの増加に対する抑制作用はDECIで明らかであったが,counter irritantによっても認められた.4)赤血球沈降速度の亢進に対する改善作用はDECIで明らかであったが,またcounter irritantおよび毒物によっても認められた.しかし,このような全身性反応に対する改善作用は,塩基性抗炎症薬および抗炎症作用以外の薬理作用を介して抗炎症効果を示す薬物にはみられなかった.5)hemoglobin,hematocrit,血清銅,鉄,euglobulin clot lysis timeおよび臓器重量の変化は,DECIによってさえも一様には改善されなかった.以上の結果より,DECIの評価のための最も鋭敏かつ信頼すべき全身性parameterは,血清albumin,turbidity,lysozyme activityおよびtotal polysaccharide protein ratioである.それ故,局所性反応に加うるにこれらの全身性反応を指標として測定することは,DECIの効果判定をより的確なものにすると共に,薬物の作用態度ないしは性質を推測するのに役立ちうるものと思われる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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