中枢性鎮痛薬の依存性に関する研究(第5報) : Morphine pellet埋込みマウスにおける耐性ならびに依存性の形成と副腎皮質束状帯細胞Mitochondriaの変形について
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概要
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マウスの背部皮下にmorphine含有pelletを埋込み,急速に本剤に対する耐性ならびに依存性を形成させたときの副腎皮質束状帯細胞Mitochondria (Mit)の微細構造を電子顕微鏡的に観察した.Morphine pelletの埋込み12時間後において該細胞のMitは腫大すると共に,同心円状ないしtubular状内膜で一部中空化したいわゆる変形Mitが明らかに増加したが,本変化は2日後最高に達し,爾後急速に減退し,4日後にはほぼ正常形態に復した.4日後該pelletを除去すると明らかな禁断症状が発現すると共に変形Mitの増加像が再び惹起され,禁断症状の寛解と概ね軌を一にして本変形も消退した.またpellet除去を施さなくとも本マウスにLevallorphan投与処置を行なえば,同様のMit変形の経過推移が発現した.またmorphine pellet除去の際にmorphineの注射を行なえば,除去に伴う変形Mitの出現は阻止された.以上の変形Mitの出現とmorphine依存との因果関係,意義について考察を加えた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文