水溶性造影剤N-methylglucamine iothalamateのイヌ脳への適用による頭蓋内動態の研究
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概要
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水溶性造影剤N-methylglucamine iothalamate(NMGI)をFeldbergの変法によりイヌの脳実質内に1mlの用量で注射すれば,薬物は円状に拡散され徐々に深部に侵入し,そこから小突起が出て,突然側脳室の中央部後方に侵入し,まず後角および下角,つぎに前角に移行し,第3脳室,中脳水道および第4脳室へと拡散した.この現象は,X線テレビジョンおよび16mmシネカメラにより鮮明に写し出された.小動物の脳内注射によっても,NMGIが脳実質から拡散され直ちに側脳室に移行する映像が,シネフィルム撮影により写し出しえた.しかしイヌで上と同量の造影剤をクモ膜下腔に注入しても側脳室の明らかな造影はえられなかった.<SUP>131</SUP>IにてラベルしたNMGIをイヌ脳の3部位(側脳室,脳実質およびクモ膜下腔)にそれぞれ適用して,放射活性の脳から末梢(心)に移行する適用3部位による差違を調べてみた.放射活性は頭部ならびに心臓側に置いた2個のシンチレーションデテクターにより測定された.脳から心への移行による放射活性の減衰は,3部位投与によってそれぞれ特有なパターンを示した.脳内に適用された造影剤の運命に関してNMGI適用および<SUP>131</SUP>I-NMGI適用の両実験によって大体同様な結果がえられた.またこの薬物は臨床応用のさいときに痙攣発作を惹起するアドバース反応を起こすが,イヌを用いた実験により,側脳室に注入された場合には間代性痙攣を全く起こさないが,脳実質内に注入された場合には起こすことがわかった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文