ネコにおける経口投与Copper sulfate嘔吐の再現性について
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概要
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ネコにおける反射性嘔吐に対する制吐剤の評価方法を確立するために,copper sulfate経口嘔吐を代表例に取り上げ,反復投与実験を行った.10例のネコに対し毎週1回嘔吐閾値量copper sulfateを投与した所,通算80回の投与に対して70回に嘔吐があり,再現率88%であった.またこのcopper sulfate嘔吐が反射的餌匿吐である事を確認するため,経口投与による吸収銅イオンの嘔吐閾値を明らかにした.すなわち迷走神経を切除しかつ第4胸椎で脊髄切断したネコに,copper sulfate 80mg/headを投与したが嘔吐は見られず,160mgで一部のネコに嘔吐が出現した.以上の実験結果から,次の実験方法に従って制吐剤の評価を試験するのが適当と考えられる.成熟ネコ(2〜3kg)を用いて,一定条件で飼育し健康である事を確認しながら,1週間に1回嘔吐実験を実施する.Copper sulfateの嘔吐閾値は10,20,40mg/headの3段階で測定し,40mgで嘔吐しない例や潜伏期が5分以内あるいは45分以上の例は除外する.制吐剤の効果は,閾値量copper sufateによる嘔吐が4例中3例抑制されれば,また実験例数が5例以上なら50%以上抑制されれば,有効と判定しうる.潜伏期の大幅な延長は抑制効果の1つの現われと見る事が出来るが,嘔吐回数の減少は指標にはならない.また強い作用を有する制吐剤の場合,閾値倍量のcopper sulfate嘔吐に対する抑制効果を試験する事も可能である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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