過カリウム血と過血糖との相関性に関する研究(III) Isoproterenolの作用
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概要
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まずepinephrine(2.5μg/kg i.v.)と,等モル量のisoproterenol(3.4μg/kg i.v.)ならびに血糖上昇がほぼ同じになる用量のcyclic AMP(2.0mg/kg p,v.)の作用を比較した結果,1)isoproterenolにより血清カリウムの下降に先立ち一過性の上昇が現われることが見い出された,2)その上昇度は,cyclic AMPと同じであり,epinephrineの約1/4であった.3)血糖上昇,肝phosphorylase活性上昇,肝組織カリウム減少,肝glycogenの変化には三薬物間に有意の差が認められなかった.4)肝cyclicAMPレベルの上昇はepinephrine,isoproterenolとも時間的経過,上昇度において一致していた.5)Adrenergic blocking agentsの影響からは,epinephrineの血清カリウムの上昇はdihydroergotamine(α-blocker),dichloroisoproterenol(β-blocker)により阻害され,阻害後の上昇値の和は対照epinephrineの上昇値と近似しており,isoproterenolの上昇はβ-blockerのみにより阻害され,epinephrineのα-blocker処置後の上昇値とisoproterenolの上昇値とは近似していることが認められた.なお,insulin,glucose添加insulinのinfusionにより,血清カリウムと肝Phosphorylase活性の減少,肝組織カリウムと肝glycogenの増加がみられるが,epinephrineの作用には有意の影響が認められなかった.次にin vitroにおいて,イヌ肝adenylc yclase活性に対する影響を調べた結果,1)カリウムは0.05mM以上の高濃度において阻害を示した.2)Isoproterenolによる活性上昇はカリウムの併用により阻害されなかった。3)その上昇はα-blockerよりもβ-blockerにより大きく阻害されることが認められた.以上より,epinephrineによる血清カリウム上昇はα,β両receptorを介する反応であり,そのうちのβ-receptorを介する変化において,過カリウム血と過血糖の相関性が肯定される.