麻酔薬影響の検討(I) 自律神経薬の循環および呼吸作用におよぼすurethane, chloraloseおよびmethoxylfluraneの影響
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概要
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家兎の呼吸振巾,呼吸数,血圧,心拍数,および心電図を指標として, adrenaline, acetylcholine, veratrine, pilocarpine, histamineおよびbarum作用を無麻酔で観察したのち, urethane, chioraloseおよびmethoxyluraneをおのおのを適用し,上記の自律神経薬物の作用を比較した.これら自律神経薬が無麻酔時と同じ反応を表わしたのは,主として血圧であった.呼吸の反応はやや抑制を受けるものがあり,心拍数は最も抑制を受けた.呼吸抑制を直接に最も大きく現わしたのはchloraloseであった. urethaneは現在まですぐれた動物麻酔薬といわれているが,血圧実験においてadrenaline, histamineおよびBariumの作用をcatecholamine遊離によって増強し, urethaneで抑制を受けない自律神経薬の心拍作用は, veratrine pilocarpineおよびhistamineのそれで,その他は抑制された. urethane下においては, histamineによって稀には心拍増加を示すことがあった. chloralose下においては, acetylcholine徐脈は大きくなり, pilocarpineおよびhistamineの作用は抑制を受けた. methoxyfluraneはその適当な抑制作用のために, catecholamineによっておきるadrenalineおよびhistamine血圧上昇増強がおきず,呼吸は増強を示した.心拍数はadrenalineおよびpilocorpineのような直接作用を有する薬物を除くと抑制された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文