家兎腹膜および腹腔内臓器の電気刺激による循環および呼吸の反応と交感遮断薬およびアトロピンとの関係
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概要
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浅麻酔下で腹腔臓器に触れたり牽引すると,血圧が一過性に下降することは,牽引反射(traction reflex)としてよく知られている.この機序解明のため,ウサギの腹腔を13カ所に分け,牽引の代りにそこを10V, 20 cps, 1msec, 10secで刺激することにより,部位による反応性の差の有無も検討した.血圧の他に,心拍数,呼吸数および呼吸振巾も検討した.これらの反応は迷走神経切断によって強くなり,少量のatropineによって出現頻度は減るが,変化の度合は大きくなった.さらにこれらの反応はα遮断薬(Hydergine, phenoxybenzamine),節遮断薬(pentopyroridinium)および抗遊離薬(Guanoxan)によってかなり抑えられ, depletor(reserpine)前処置によってかなり予防された, reserpine前処置動物にnor-adrenaliveを灌流すると再び反応は出現した.しかしいづれも単独では完全に抑えることはなかった. β遮断薬(propranolol, MJ 1999)も不完全ではあるが抑制を示した,これらの遮断薬による抑制は刺激部位によって差があった. α遮断薬, β遮断薬および大量のatropineの組合せ, reserpineとGuanoxan, reserpineとatropineの組合せでいづれも反応は消失した.腹膜電気刺激による循環呼吸の反応は,副腎摘出家兎によっても同様におきた.以上の結果から,腹腔内刺激による血圧降下は脊髄を介する交感亢奮性のもので,この末梢からのcatecholamines遊離によって伝達され, α性のものが多いが, β性のものも存在し,このほかの極く小部分は,迷走神経あるいは仙骨性の副交感神経以外のコリン作働性関与の存在を思わせた.