K+依存性p-Nitrophenyl phosphataseにおよぼすウシ血清アルブミンの影響
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概要
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1. 500μg/ml BSAはモルモット脳ミクロソームのK+-PNPPase活性を70〜80%阻害した. BSA濃度を2000μg/mlに上げてもNa+, K+-ATPaseは阻害されなかった.2. Mg++濃度あるいはK+濃度を一定にし,それぞれK+濃度, Mg++濃度を変える時, K+-PNPPase活性とBSA阻害度はほぼ平行して変化した.3. 基質のPNPPの濃度を変えるとき, K+-PNPPase活性に対しBSAは基質と競争的阻害を示した.4. ミクロソームをBSA, Mg++とともに37°C, 3m間プレインキュベートし,続いて水洗しBSAを除いても,そのミクロソームのK+-PNPPase活性は不可逆的に抑えられた.このプレインキュベーションの時, Mg++がなければ阻害は起こらず, K+, Ouabainは阻害を高め, K+による促進にはOuabainは無影響, Na+, ATP, PNPPは阻害を抑制した.5. 以上から, BSA阻害はK+-PNPPaseの活性中心の結合部位にBSAが結合することによるものであり,また, K+-PNPPaseとNa+, K+-ATPaseとは触媒部位を共通するものである可能性について論議した.本研究の一部は昭和41年4月2日第39回日本薬理学会総会,および昭和41年6月19日第29回日本薬理学会近畿部会に発表した.稿を終るに当り,御指導,御校閲を賜った黒河内教授に深甚なる謝意を表します.また,本研究遂行に当り御便宜を与えて下さり,御懇篤な御鞭撻を賜わった大阪大学薬理学教室今泉礼治教授,ならびに有益な御助言をいただいた同教室吉田博教授に深甚なる謝意を表します.