血管平滑筋細胞の形質変換を指標にした新しい動脈硬化治療薬の開発
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概要
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血管平滑筋細胞が収縮型から合成型へ形質を変換し異常増殖することが、動脈硬化症の原因の一つとしてあげられる。そこで動脈硬化巣にみられる合成型平滑筋細胞を収縮型に誘導することができれば、平滑筋細胞の増殖が抑制され動脈硬化を治療できると考えられる。このような薬剤(平滑筋細胞形質制御薬)の開発を目的として、試験管内で平滑筋細胞の形質変換を再現する系を構築した。系の構築にあたり、温度感受性変異SV40ラージT抗原トランスジェニックマウスの大動脈より平滑筋細胞を単離、培養して株化細胞(SVS)を樹立した。SVS株は33°Cで培養すると、合成型に近い性質を示した。一方、39°Cで培養すると収縮型に近い性質を示した。したがって、SVS株は培養温度により形質をコントロールできる、形質制御薬の探索に適した細胞ということができる。SVS株を用いて、マーカー遺伝子の発現量を簡便にモニターできるレポーター系を構築し、約40,000の合成化合物をアッセイした。その結果、10個の化合物がマーカー遺伝子の発現を上昇させた。その中の一つがアスコルビン酸であった。アスコルビン酸は濃度依存的、時間依存的にマーカー蛋白質の発現を上昇させた。さらにアスコルビン酸は<I>in vivo</I>においても、血管平滑筋におけるマーカー蛋白質の発現を上昇させ、形質制御薬として有望であることが示唆された。
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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