虚血・再灌流-アンモニア負荷ラットの急性胃粘膜病変(AGML)の発生に対するトロキシピドの抑制効果
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概要
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ラットに各々単独では急性胃粘膜病変(AGML)を引き起こさない強さもしくは濃度の虚血・再灌流および0.2%アンモニア水を同時負荷することにより新規AGMLモデルを作製した.また,当該モデルや脱血-0.2%アンモニアもしくは1%アンモニア負荷AGMLモデルに対するトロキシピドや他の胃粘膜防御系薬物の抑制効果について調べた.(1)トロキシピドの50〜200mg/kg(p.o.)はラットの虚血・再灌流-0.2%アンモニア水同時負荷によるAGMLの発生を投与量に依存して抑制した.また,虚血・再灌流負荷による胃粘膜中のチオバルビツール酸(TBA)反応物質の増加も用量依存的に抑制し,抑制率はAGMLの場合とほぼ同じであった.アロプリノールもAGMLの発生やTBA反応物質の増加を抑制した.(2)トロキシピドの10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>Mはin vitroにおけるラット胃粘膜ホモジネートのキサンチンオキシダーゼ活性をアロプリノールと同様に濃度依存的に抑制した.(3)トロキシピドの50〜200mg/kg(p.o.)はラットの脱血-0.2%アンモニア水同時負荷もしくは1%アンモニア水単独負荷によるAGMLの発生に対しても投与量に依存した抑制を示した.(4)トロキシピドの各種モデルにおけるAGMLの発生や虚血・再灌流に伴う胃粘膜中TBA反応物質の増加に対する抑制スペクトラムは,ソファルコンと類似しており,テプレノンや塩酸セトラキセート,アズレン+L-グルタミンもしくはスクラルファートとは幾分異なるものであった.以上の結果から,トロキシピドの虚血・再灌流-0.2%アンモニア負荷モデルにおけるAGMLの発生に対する抑制作用は,その機序の一つに虚血・再灌流に伴う活性酸素の産生や乏血によるエネルギー代謝の低下に基づく粘膜組織の脆弱化およびアンモニアのバリアー破綻作用に対する抑制もしくは保護効果が関与しているものと考えられた.また,各種AGMLモデルに対する抑制スペクトラムも他の粘膜防御系薬物と異なり幅広い効果を示すことが判明した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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百々 研次郎
杏林製薬(株)研究センター
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石橋 祐二
杏林製薬(株)研究センター
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保科 公平
杏林製薬(株)開発技術センター
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斎藤 孝夫
杏林製薬(株)開発技術センター
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石橋 祐二
杏林製薬(株)開発技術センター
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