複数のマウス胚から作製した集合胚の発生能
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概要
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ddY系マウスから採取した8ないし10細胞期胚を2〜5個ずつ集合させ,それぞれの集合胚の発生能を比較検討した.作製した合計400個の集合胚のうち393個の胚は,培養中割球の退化は全く認められず,単一の正常な桑実胚あるいは胚盤胞に発生した.桑実胚あるいは胚盤胞への発生率は,各集合胚間で差は認められなかった.しかし,各集合胚の発生の速度には差がみられ,集合に用いた胚の数が多い胚ほど発生は遅れる傾向が認められた.培養開始後12時間における各集合胚の体積は,集合に用いた胚の数に比例した体積よりも大きかったが,その後は,それぞれ1個の裸化胚の2倍,3倍,4倍および5倍の体積に近づく傾向を示した.形態的に正常な桑実胚あるいは胚盤胞をレシピェントに移植し,妊娠19日目に剖検した結果,2〜4個集合胚の着床率には差がみられなかったが,5個集合胚では有意に低い値を示した(P<0.05).また,生存胎児への発生率は,集合に用いた胚の数が多くなるにつれて低くなる傾向がみられた.各集合胚から発生した生存胎児は,形態的に正常であったが,妊娠19日目における体重は,自然交配によって得られる胎児に比べて小さい傾向が認められた,これらの結果から,多数の胚から作製した集合胚では,培養中における発生の遅れあるいは極度に増大した大きさが,着床あるいは着床後の発生に影響を及ぼす可能性のあることが示唆された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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