廃鶏の肉および内臓脂質のトリアシルグリセロールの構造ならびに分子種
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概要
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廃鶏の肉(むね,もも)および内臓(肝臓•心臓•砂のう)のトリアシルグリセロール(TG)の構造ならびに分子種を研究した.廃鶏TGの主要な脂肪酸はパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸およびリノール酸であった.むね,もも,心臓および砂のうのTGの脂肪酸組成はよく似ていたが,肝臓は他の組織に比べてステアリン酸とオレイン酸が多く,リノール酸が少なかった.肝臓を除く各組織はS2D, SMD, SD2およびMD2の含量がそれぞれ近似していて,比較的似たTG構造であった.しかし,肝臓のSM2, S2D, M2D, SD2およびMD2の含量は他の組織と明らかに異なっていた.廃鶏において飽和脂肪酸はTGの2および3の位置より1の位置に多く,不飽和脂肪酸は2の位置に多く存在していた.廃鶏のTGタイプではsn-UUUが最も多く,次いでsn-SUU, sn-UUS, sn-SUS, sn-USU, sn-SSUおよびsn-USSの順であり,sn-SSSはいずれの組織においても最も少ない成分であった.1-ランダム,2-ランダム,3-ランダム分布理論に基いて計算した廃鶏TGの主要な分子種はsn-OOO, sn-OOP, sn-POO, sn-OLO, sn-POP, sn-PLOおよびsn-OLPであった.(S=飽和脂肪酸,U=不飽和脂肪酸,M=モノエン酸,D=ジエン酸,P=パルミチン酸,O=オレイン酸,L=リノール酸,sn-=立体特異的番号をあらわす.)
- 社団法人 日本畜産学会の論文