乳用牛の遺伝的能力評価に適用するアニマルモデル
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概要
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牛群検定データ等のフィールドデータを用いる全国的な乳用牛の遺伝的能力評価に適用するアニマルモデルの開発を行なった.評価形質は泌乳(乳量,乳脂量•率,無脂乳固形分量•率,乳蛋白質量•率)および体型(得点5形質と4部位および線形15形質)である.泌乳形質評価のための統計モデルには,管理グループ,分娩月(北海道,都府県別)および分娩月齢の各母数効果と,育種価,恒久的環境効果および残差の各変量効果を含めた.管理グループは,牛群,年次,父牛が共用されている国(日本あるいは海外)および産次(初産あるいは2〜5産)によって区分した.また,体型形質評価のための統計モデルには,審査グループ,審査月齢および審査時における泌乳ステージの各母数効果と,育種価および残差の各変量効果を取り上げた.審査グループは,牛群,審査員および審査日によって区分した.雌雄全個体間の血縁関係を考慮することとしたが,主要な血縁関係に影響しない母牛および不明な父母牛は遺伝グループ(性,産地,生年で区分)化し,その効果が育種価に寄与するものとした.このアニマルモデルを,MGSモデルを用いて行なわれた1992年4月の乳用種雄牛評価とほぼ同時期の2〜5産を含むデータに適用した結果,MGSモデルによる評価値との間に高い相関が認められた(≧0.89).また,泌乳形質における遺伝的趨勢と飼養管理の趨勢を観察し,年あたりの改良量を求めたところ,乳量における遺伝的改良量は46.6kg,飼養管理効果の改良量は109.6kg(対初産牛)あるいは147.7kg(対経産牛)であった.