ラット初期胚の内部細胞塊に由来する多分化能細胞株の樹立
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概要
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ラット胚性幹細胞(embryonic stem cell;ES細胞)の樹立を目的として,ラット初期胚内部細胞塊(ICM)由来細胞の増殖に関する検討を行なった.マウスES細胞樹立に使用されるBuffalo ratliver細胞上清(BRL-CM)および白血病抑制因子(Leukemia inhibiting factor; LIF)の培養液への添加はICMの増殖に対して無効であったが,BRL-CMを酸処理したのち分子量5000の限外ろ過膜で分けた低分子分画(CM/La)とLIFを加えた場合のみ極めて高い頻度でICMの増殖が観察され,ほぼすべての接着胚でICMがドーム状に増殖した.さらにその一部を継代することにより,小型球形細胞からなる不定形のコロニーを形成して増殖する細胞株2株を樹立した.このICM由来細胞株はCM/Laを除去すると線維芽様細胞,神経様細胞,心筋様細胞へと分化し,また,浮遊培養により胚様体を形成したことから,多分化能を有しているものと考えられた.また,CM/LaはラットICMおよびラットICM由来細胞に対して増殖促進および分化抑制活性を持つことが示唆された.BRL-CMに由来するCM/La分画は従来困難であったラット初期胚由来細胞株の樹立•維持に有効であると考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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松本 和也
(株)エヌティーサイエンス
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高橋 由美
(株)エヌティーサイエンス
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宮田 堅司
(株)エヌティーサイエンス
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高橋 明男
(株)エヌティーサイエンス
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中潟 直己
(株)エヌティーサイエンス
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安斎 政幸
(株)エヌティーサイエンス
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