HP用電極に関する諸問題
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概要
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近時製鋼用アーク炉のHP操業,さらにはUHP操業がにわかに脚光を浴びてきており,その成否は将来の電気製鋼の消長を左右するともいわれている。いまや電気製鋼の分野は一大転換期を迎えているといっても過言ではなかろう。UHP操業の発祥地である米国では1975年には全電炉鋼中の約40%がUHP生産になろうと予想されている。さてこのような大電力操業において,在来の黒鉛電極が果してその使用に耐えうるかどうかが,まず一つの問題として提起されるだろう。HPあるいはUHP操業においては黒鉛電極は通常操業時の120ないし150%の電流容量で使用される。いいかえれば耐スポーリング性を損なうことなしに,これに相応した電気抵抗の低減を達成しなければならない。本文では国内におけるHP操業でのいままでの実績をもとにしてHP用電極のあり方についてカーボンメーカーの立場から論述したいと思う。W.E. SchwabeらのUHP操業に対する提案はかれらの基礎実験にもとづき,多分に理論的な根拠からのアプローチを試みて成功しており,その努力とけい眼は驚嘆に価するが,いまやわれわれに課せられた任務は実際面での問題点の抽出とそれらの解決にあると考える。黒鉛電極についても過去一ヵ年余にわたる試作と関係各社の協力による実用試験を通じて,進むべき方向はほぼつかみ得たものと信じるが,さらにこれを完成に導くためには電炉・製鋼はもとより電機,耐火材,その他関連諸工業の一体となっての努力と実績の積み重ねにもとづく前進がなおいっそう必要であろうと思われる。このような観点において黒鉛電極の現状での問題点と今後の方向について,主としていままでの実績にもとづき,また米国での現況をも参照しつつ考察した。
- 大同特殊鋼株式会社の論文